共生社会の実現に向けて、できることから活動していく

Project Story 04

Project Member 伊東昂一郎

「共生社会」という言葉をご存じだろうか? 「共生社会」とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会をさす言葉である。残念ながら、現代の日本では、いまだに共生社会が実現したとは言えない。しかし近年、2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、共生社会に対する注目が集まっている。そして、それに伴って、共生社会の実現に向けて、日々活動している人々にもスポットライトが当たるようになった。今回は、共生社会の実現へむけて大学のゼミという立場から取り組む、武蔵野大学スポーツマネジメントゼミに所属する伊藤浩一郎に話を聞いた。


ついに開催!「体験しよう! 障害者スポーツチャレンジ2016in KOTO」

 2016年12月18日、東京都江東区で、江東区民向け障害者スポーツ普及イベント「体験しよう! 障がい者スポーツチャレンジ2016in KOTO」が開催された。

「スポーツマネジメントゼミは共生社会の実現という大きな目標に向けて、色んなイベントを僕たちが企画していったり、ボランティアに参加するのをメインに活動しています。そのような活動の中でも、最も力を入れているのが、スポーツ関連のイベント。パラスポーツをメインにして、障害を持った人達が参加できるようにしています」

 企画書から、場所の確保、ゲストに誰を呼ぶのかまで全て自分達でやらなければならない。たくさんの選択肢の中、何とか実現にこぎつけたのは、ボッチャとブラインドサッカーという競技だった。

「大まかにいうと、ボッチャというのは、的にボールを投げて、より的に近いほうが勝ちというスポーツで。ブラインドサッカーというのは、目隠しをして目が見えない状態でプレイするサッカーです。2つともパラリンピックの公式種目なので、この種目を広めることが共生社会への貢献につながると思い企画しました」

 実際にパラリンピックに参加した選手を呼び、より本格的な体験ができるように努めた。その結果、イベント期間中の来場者は300人にものぼった。

「自分達と同じように、障害者スポーツを盛り上げようと活動している他大学の団体が来てくれたり、江東区の障害者スポーツ協会の人が来てくれて。若い方から年配の方まで楽しんでいただけました」


小学校でボッチャ教室

 12月の大きなスポーツイベント以外にも伊藤たちは様々な活動を行っている。

「江東区にある小学校に訪れて、障害者スポーツを知ってもらおうという授業をしたんです。体育の授業の時間をかりて、ボッチャについて授業をしました」

 ボッチャのルールの簡単さもあり、小学生たちもすぐにルールを覚えた。反応は上々で、自分たちが企画した以上の楽しい授業になった。逆に自分たちにとっても、気づかされることの多い体験だった。

「訪れたクラスがたまたま障害者支援クラスで、そこで授業をやったとき、健常者に授業するのとは違うなって改めて感じましたね。健常者向けの授業を想定していたので難しかったです」

いつか叶えろ、おりがみ武蔵野大学支部

 様々な活動をしている伊藤だが、そのたびに感じる課題があった。

「いろいろなイベントに言えることなんですが、集客があまり良くなくて。人があんまり来ないんですよ」

 同じように、障害者スポーツのイベントを企画している学生たちの団体で、最も大きいところは軽く1000人が訪れる。この差はどこにあるのか。伊東は冷静に分析し、自分たちも1000人以上の集客を実現するため、このような青写真を描く。

「他の団体をライバル視するのではなく、そういう団体とつながっていければいいなと思います。いつか、スポーツマネジメントゼミが、大きな団体の武蔵野大学支部という形になるのが理想的かなと」

 その言葉を実現するため、つい先日、伊藤は「おりがみ」という障害者スポーツのイベントを企画する大規模な学生団体に加入した。伊東が、おりがみ武蔵野大学支部設立を実現させる日も近い。


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