いつの日か、より多くの人がパラスポーツを楽しむ世の中に

Project Story 03

Project Member伊東昂一郎

パラスポーツで、誰もが参加できる社会を

 2014年、スポーツマネジメントゼミはスポーツイベントの開催を通じて、マネジメント等のビジネススキルを修得することを目標に開講した。現在は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、障害を持っている人が積極的に参加できる社会づくりをしている。そのために、パラスポーツの普及に力を入れている。

 パラスポーツとは、身体障害や知的障害などの障害のある人や障害をもたない人も行うことのできるスポーツだ。障がい者スポーツというと、障害のある人たちだけがするスポーツという印象を受けてしまう。しかし、障害の有無に限らず誰でも一緒にできるものだということから、今ではパラスポーツという名前で定着してきている。

 2016年、当時2年生であった伊東はこのゼミに入ることを決めた。

「最初スポーツマネジメントゼミと聞いた時、スポーツっていいなというのと就活の話題作りになるかなというくらいの気持ちで入ることを決めました。当時はこのゼミの内容をあまり理解していなくて、入ってからパラスポーツを企画するゼミだということを知りました。それからどんどん興味がわいてきて、今は積極的に活動を行っています。」


一年以上前からの地道な準備

 2016年、伊東が初めて運営に関わることになったのが「障がい者スポーツチャレンジ」。実際にパラリンピックの公式種目である「ボッチャ」と「ブラインドサッカー」の体験会を行うものだ。「ボッチャ」は重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツだ。目標玉である白いボールに、赤・青それぞれ6球ずつボールを投げたり転がしたりしていかに近づけるかを競う。「ブラインドサッカー」はゴールキーパー以外は盲目の選手がプレーするサッカーで、転がると音が鳴る特別なボールを使用する。

 実際に行うには様々な許可が必要だ。スポーツマネジメントゼミは、江東区の公認で活動しているため江東区の許可。「ボッチャ」の協会と「ブラインドサッカー」の協会の許可も必要である。

 しかし、協会からはすぐに許可が下りるものではなかった。安全面などのアドバイスを得ながら許可が下りるまで企画書を書いては出して、書いては出しての繰り返し。そして、とうとう全団体から許可が下りた。あとは、本番当日まで地道な準備を重ねていくだけだ。

今は300人。今後は1000人を目指して

 そしてむかえた2016年12月18日。伊東らが1年以上前から動き出していた「障がい者スポーツチャレンジ」の本番がやってきた。伊東らはイベントに来てくれた人に楽しんでもらえるような企画をたくさん用意した。抽選会でのディズニーのチケットプレゼント。リオパラリンピックのボッチャで銀メダルを取った廣瀬選手をお呼びしての体験型授業。スポーツ用車椅子の体験、パラリンピック写真展などを企画した。

 当日は300人という数の人たちがイベントに来てくれた。しかし伊東は300人という数に満足しているわけではない。

「企画したイベントに来てくれて楽しかったと言ってくださる方が多くてとても嬉しかったです。でも300人じゃまだ足りないと思っていて、もっと多くの人にパラスポーツを知ってもらいたい。昨年は、同じような活動をしている団体の人とか、江東区の障がい者スポーツ協会の人とかが多く来てくれました。これからは、気軽に遊びに来たみたいな人が増えてくれたら嬉しいですね。今後は1000人を目指していきたい。東京でオリンピック・パラリンピックが行われる頃にはもっと多くの人を呼べるように今活動していきたいです。」


もっとパラスポーツを楽しめる世の中へ

 イベント開催を中心として動いているスポーツマネジメントゼミだが、他の活動も行っている。昨年はパラスポーツを知ってもらおうという取り組みの一つで江東区の小学校の体育でボッチャを教えた。簡単にできるということやルールが簡単ということで子どもたちも興味を持ち、やってみたらおもしろいと楽しんでくれたという。

「本当にルールも簡単で○×書いてボールがあればできるものなので、いつかは小学校の休み時間とかに小学生みんながやってるってなったらいいなと思っています。」

 スポーツという言葉に惹かれ、就活の話題作りにとこのゼミに入った伊東であったが、今は外でも活動を行うくらい積極的に活動している。

「明治大学と千葉大学がメインでやっている『おりがみ』という団体に個人的に参加しています。『おりがみ』は神奈川・千葉・東京に支部があり、日体大支部や亜細亜大学支部のように各大学に支部があるんです。なのでいつかは武蔵野大学支部も作りたいなと思っています。そうすることで、300人しか呼べなかった自分たちのイベントに1000人来てもらうことも可能になるのかなと思うんです。」

 いつの日か、より多くの人がパラスポーツを楽しめるような世の中を目指して、伊東らは活動を続ける。

 (written by 小島加帆)

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