2020年に向けて、学生だからこそできること。
Project Story 01
Project Member 伊東昂一郎
最初は、どんなゼミなのか全く知らなかった
武蔵野大学スポーツマネジメントゼミは、障害を持った人たちが積極的に参加できる社会の実現という目標をもち、様々なイベントを企画し、自分たちで運営まで行うゼミだ。2014年にスタートし、2015年からは江東区でバックアップも受け、本格的に活動している。ゼミ生は30人。その中の一人である伊東昂一郎は副ゼミ長を務めている。伊東は最初、スポーツマネジメントゼミの内容を知らず、スポーツっていいな、というくらいの軽い気持ちで入ったと言う。1年生のうちは、オリンピックやパラリンピックの歴史などの座学をする。
「オリンピック、パラリンピックの歴史などの知識を身に付けました。イベントに来る人と対等に話ができるように、何も知らないのにイベントしているのか、と思われないために。」
他にも、先輩たちが中心となって進めているイベントの手伝いや、報告会、反省会を行っていた。そして2年生となり、実際にイベントを企画し、運営する代になった伊東は、その難しさに直面することになる。
12ヶ月以上前からの綿密な準備
2016年12月、スポーツマネジメントゼミは、江東区の有明スポーツセンターと一緒に行う「障害者スポーツチャレンジin KOTO」というイベントの話をいただいた。パラリンピックの公式種目である「ボッチャ」と「ブラインドサッカー」をより多くの人に体験してもらうというイベントだ。
ボッチャは目標玉である白いボールに向かって青いボールと赤いボールを投げ、どちらが近いかを競うもの。ブラインドサッカーは、目隠しをした状態で、鈴をつけたボールの音を頼りにプレーするサッカーだ。12ヶ月先のイベントを成功させるために、伊東たちの準備が始まった。
まず、江東区教育委員会に企画書を提出して、その企画書が通ったら、各競技の協会の許可をもらうため交渉する。協会や、江東区から許可が下りないと、企画は完成できない。何回も書き直しては指摘され、書き直して、それでもまた指摘された。
また、イベントの広告塔となる有名な選手を呼ぶことも難航した。選手が所属している協会に交渉していくが、大会が近いから厳しいと出てくださる選手が見つからなかった。場所と日時も決めなければならないが、会場の予約を取ろうにも、10か月前でも予約が埋まっていることも多かった。「みんなで相談しながら、スポーツセンターにこの日は空いてますか、じゃあこの日は、って聞きまわりました。」何度もくじけそうになりながら、長く困難な道のりを経て、ついに全ての団体から許可もいただき、実施計画が定まった。
参加してよかったと思えるようなイベントに
2016年12月18日、日曜日。「障害者スポーツチャレンジin KOTO」当日。よりたくさんの人を呼び込むための広告塔としてオファーしたのは、実際にリオオリンピック、パラリンピックにボッチャ選手として参加していた廣瀬隆喜さんだ。イベントでは抽選会も開催し、一位にはディズニーのペアチケットも用意し、参加者が楽しめるよう様々な工夫を凝らした。
イベントに参加してくれた人はおよそ300人。初めて「ボッチャ」や「ブラインドサッカー」をプレーする人も多く、競技の難しさ、面白さを体験してもらうことができた。「楽しかったよ。」と声をかけてくれる人もたくさんいた。しかし、伊東は「障害者スポーツチャレンジ」を振り返り、まだまだ改善点があると言う。
「日曜日じゃなくて土曜日だったら、明日休みだし行ってみようかという感じで、もっと参加してくれる人が増えるんじゃないかとか。イベントの告知の仕方はもっとうまくできないかとか。もっと来てくださる人の数を増やせるはずだと。」
誰もが参加できる社会を目指して
伊東は、その後、障害者スポーツのイベントを企画する「おりがみ」という学生団体にも参加した。複数の大学の学生からなる団体で、「オリンピック・パラリンピックをがくせいみんなで盛りあげる」ことを目指している。「おりがみ」が行うイベントは、軽く1000人を超える集客がある。
「同じような活動をしている人たちと繋がっていくことで、より大きなイベントができるのではないかと。『おりがみ』は日体大支部や、亜細亜大学支部など、いろいろな大学に支部を置いているので、いつか武蔵野大学にも支部を作れたら、と思っています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されるので、それを盛り上げるためにも、僕たちのイベントも次は参加者1000人を目標にしています。」
2020年、東京オリンピック・パラリンピックの舞台である有明に建つ武蔵野大学。そのスポーツマネジメントゼミとして伊東たちの意気込みは大きい。障害を持っていても、持っていなくても、誰もが参加できる共生社会を目指して。伊東たちはこれからもパラスポーツの魅力を発信していく。
(written by 高橋碧)
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