ゴミ山で働く人の未来を変えたい。
Project Story 02
~アンルンピー村 Kumaeプロジェクト~
Project Member 福澤和樹
もう一度行きたい。2016年夏、2度目のカンボジアへ
日本から6時間という長旅を終え、2016年夏、福澤らは2度目のカンボジアへ降り立った。大学1年生の時に学校の授業の一環で初めてカンボジアに行った福澤。電気が通っていない村での水浴び、日の出と共に目を覚まし21時には寝る生活。人々もみんな笑顔で人懐っこい。そんなカンボジアのことが大好きになり、絶対またここに帰ってくると心に決めた1年後のことである。1年前カンボジアに行った際はカンボジアという国を知るということがメインであった。しかし今回の目的は、同大学の平井葉子と共にシェムリアップ州バコン群アンルンピー村にあるKumaeで1ヶ月間インターンをすること。観光客が増加することでゴミも増加し、ゴミを隠すように市内から離れた村に捨てゴミ山ができる。村の人々は、子供から大人まで大勢がそのゴミ山でビンや缶を集め売ることで、市街で働く人と同じくらいの収入を得ている。しかし、ゴミ山には医療廃棄物なども混じっているため注射器によりエイズに感染してしまうかもしれない。ガラスを踏んで怪我した所から菌が入り足がぱんぱんに膨れ上がることもある。そんなゴミ山で働く人たちの未来を変えたいという思いから、バナナペーパーでの物作りを軸にした雇用事業や、日本語学校の展開などを行っているのが、Kumaeという企業。そこで自分たちに何ができるか。福澤たちの挑戦が始まった。
何か形に残せないか。クラッチバッグ制作に挑戦。
Kumaeはまだできたばかりの企業。建物も自分たちで作っているところだった。福澤たちも工房のレンガを積み上げる土木作業をした日もあった。また、Kumaeが運営している日本語学校で日本語を教えることや、スタディーツアーで来た団体の対応なども経験させてもらった。何か形あるものを残して、この村の人のためになれないか。そんな想いも抱き、日本で流行ったクラッチバッグを制作したら観光客に売れるのではないかと、バッグ制作にもチャレンジ。「現地のスタッフの方は、もともとゴミ山で働いていた方達なので、もちろん日本語も英語も通じないしクメール語でも怪しいくらいなんです。だから、設計したものをスタッフの方に説明する時も身振り手振りで説明していました。でも最終日にほんとぎりぎりで完成して、そこでスタッフさんと一歩通じ合えたかなと思っています。言葉は通じないけど、なんかこいつ必死にやってるなって。最後はスタッフとして意識してくれたのかなって。笑ってくれたりとかそういうのを見てあぁやって良かったなって思いました。」
この人みたいに生きたい。拓弥さんとの出会い。
今回のKumaeでの活動では、福澤の心に火をつける出会いがあった。Kumaeの代表、山勢拓弥氏との出会いであった。山勢氏は現在24歳。日本の大学に進学したがカンボジアのゴミ山で活動するために大学を中退。日本人2人とカンボジアに旅行会社を設立し、そこで働きながらゴミ山に通っていたが、ゴミ山での活動を本格的に開始するため旅行会社を退社。その後Kumaeを設立し、現在はKumaeの代表理事を務めながら現地の大学に通っていた。年齢も自分とそう大きく離れているわけではないのに、会って話してみると、つよい信念とたくましい人間力を感じた。「口だけじゃなくて本当に動いている人を初めてみました。拓弥さんが言っていた『行動はメッセージ』。単純な言葉だけどこれを実践できる人って本当に少ないんだろうなって思います。本当にかっこいい大人って拓弥さんみたいなことなんだって思ったし、この人みたいな生き方をしたいなと思っています。」
やらないでやめるならやってしまおう。
カンボジアに行きKumaeでインターンをしたことで、自分の気持ちに大きな変化があった福澤。「日本語学校で学んでいる生徒の中でも未だにゴミ山で働いている子とかもいて、人生をかけて勉強していた。その現場に僕らは少し寄り添えたんだなって思いました。日本に帰って来てからもみんなどうしているのかなって毎日考えてます。自分の目標としては、とにかく動こうと決めました。やってどうなるかはわからないけど、やらなきゃ現状は良いようにも悪いようにも変わらないから、思ったことはどんなことでもやろうと思っています。」そう話す福澤は、日本に帰国後、12月1日の「世界エイズデー」で藤本ゼミが行っている啓発活動の担当を担った。福澤がゲストスピーカーとして招いたのは元AV女優の方だった。先進国でHIVの感染者が増加しているのは日本だけ。その中で学生が感染しないためにはまず興味を持ってもらう必要があると考えてのキャスティングだ。反対意見もあったが、学生からの反響は大きく、実になる時間だったという声が多く上がった。『行動はメッセージ』。この言葉を軸に、カンボジアでの日々を思い出しながら、福澤の挑戦はまだまだつづいていく。
(written by 小島加帆)
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